「ZOOROPA/U2」 93年 評価3
スタジオアルバム7枚目の本作は、前作『アクトン・ベイビー』と次作『POP』とともにデジタル・テクノ・ダンス系を打ち出した3部作といわれている。個人的には名作『アクトン・ベイビー』はそれほど凄くはないと思っているが、後2作はさすがに音的にもボーカル・エフェクトでも明らかにそれまでと違うことは明白だ。
この試みは成功したかと言われれば、U2自身が、『ヨシュア・トゥリー』までにファンや評論家により築きあげられたロックの伝道師という役柄を、根本から打ち崩したことにおいては大成功であろう。また、音楽としても全く今までと違うジャンルでありながら決して陳腐ではなく、どんなにデジタル的でダンスミュージック風であっても、U2が作る音であることを無意識に主張するところはさすがという存在感だ。
しかし、好きかといわれるとそうではない。音的にダメだし、いつもどおり後半は尻すぼみ気味で特に聴き応えはなく、消し対象になってしまう。